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Works

mum&gypsy “BEACH CYCLE DELAY”

2021年12月、trippenは会場にて「tsugime」と題した展示を行いました。
会場ロビーでは、これまでに発表されたtrippenのモデルのアーカイブを大規模に展示します。
靴といういくつもの継ぎ目によって構成されるものが、「だれか」や「なにか」に繋がる機会を想い、この展示を行いました。

2018年第一弾「BEACH」、同年12月第二弾となる「BOOTS」を発表。今年10月には愛知県豊橋市・新潟県妙高市・香川県善通寺市にて、「BEACH CYCLE DELAY」の三都市ツアーを開催しました。
コロナ禍で延期が続いた「CYCLE」は、初めての上演。「DELAY」は「BOOTS」からタイトルを改め、内容も大きくリニューアルしました。
俳優が作品間を同じ登場人物としてシンクロしながら、夏(BEACH)秋(CYCLE)冬(DELAY)の季節を描いています。
その他、会場ロビーには、trippenのシューズと藤田の言葉からなる「tsugime」の展示、「BEACH CYCLE DELAY」の連作となる映像作品「apart」を展示しました。


現在、ある場面を切りとり、描くというのはどういうことなのだろうとかんがえている。現実がこんなにも目まぐるしく、もうなにが起こったとしてもおかしくはないと構えていても、ふたたびかならずちがうかたちで押し寄せるつぎの脅威に、やはり怯えている日々のなかで。なにを切りとり、描くというのだろう。そしてどんな時間を構成して、なにを「演劇」と呼ぼうとしているのか。はっきりとおもうのは、現在は転換点であるということ。しかしぼくは「演劇」を諦めたくない。「演劇」という場をつくること。そこで、だれかを待つこと。出迎えて、見送ることを。
2020.11.12    藤田貴大


ここに立ち尽くし、うしろを振り向くと、この一年でもう会えなくなってしまったひとたちが、わたしを、わたしたちを見つめているような気がする。その眼差しを、声なき声を受信しながら、時間のうえに舞台と客席を配置した。ここで、待っている。もう会えないのはわかっているけれど、待っている。季節は巡った。その速度に抗うことはやっぱりできなかった。もういちど会えたなら、どう名前を呼ぼう。そのあと、なにを話そう。この"演劇"という営みのなかで、そのことばかりをかんがえている。
2021.10.12    藤田貴大